2016年5月1日日曜日

アンティークバカラ  ジェ・ドー  BACCARAT JETS D'EAU

Jets d’Eau ジェ・ドーと名のついたこのモデルはジョルジュ・シュバリエの代表作の中の代表作。1925年のパリ万博(通称アールデコ博)に出展されアールデコをアールデコならしめたとも言える名作です。

数あるバカラの専門書でもほとんど全てに掲載されている程バカラの歴史上重要なピースで、高級クリスタルメーカー他社をクリエイティビティで大きく引き離し、バカラを時代の主役とならしめた作品でもあり、同時に1916年にバカラに入社し当時弱冠31歳のジョルジュ・シュバリエのバカラ社内外での評価を不動のものにした作品とも言え、長い間ずっと憧れだった神話的グラスです

1925年発表ですが、オリジナルは幻のミュージアム・ピースでミュージアム以外で見たことはありません。復刻版は1991年頃にリバイバルで生産されました。こちらも大変希少でとても高価です。

今回の入手は小さめのワイングラス。美しく、また想像通り満足度が高い逸品です。
やはりバカラ・ファン、シュバリエ・ファンは1つ持っていたいアイテムですね。





下の白背景の写真はバカラ・イタリアのプレスオフィスから使用許可を頂いた美しい公式写真です。

今回の入手写真中央のワイングラスS (H15.5cm)は私のコレクション用ですが、写真左端のウォーターグラス(H20.6cm)この写真にはないシャンパンフルート(H20cm)の2タイプは複数お取り寄せも可能です。

ご興味のある方はメールにてご連絡ください。ご相談に応じます。


Photo©Patrick Schuttler
Courtesy: Baccarat 




バカラ専門書に掲載されるジェ・ドー


ジョルジュ・シュバリエ
Courtesy: Baccarat





オリジナルと 復刻版の違い


• ベースのお花模様がオリジナルではレリーフで段差が付いていますが復刻版はエッチングです。
• また、オリジナルはステムのレリーフ部のみが腐食されていますが復刻版はステム全体が腐食されています。

• 写真資料を見る限りオリジナルのシャンパングラスはクープ型ですが復刻版はフルートグラスです。




名前の由来:
Jets d’Eau の言葉の意味を直訳すると水のジェットという意味で「大噴水」を意味します。フランス語には泉という意味も持つ噴水という意味でFontanieという言葉があり小さめの噴水にはFontanieを使う方が一般的な様です。代表的な大噴水Jets d’Eau はスイス、ジュネーブのレマン湖から吹き出す140mの高さの噴水が有名です。1886年建設当時は高さは30mだったそうですが当時としては画期的でした。

1886年建設当時ジュネーブのレマン湖の大噴水 Jets d’Eau

このモデルのオリジナルが発表された1925年のアールデコ万博には、バカラはクリストフルとの共同パビリオンで出展していました。

バカラ・クリストフル パビリオン

資料を見ると館内中央にはやはりジェ・ドー(大噴水)がモチーフの大シャンデリアが展示され、その下の大テーブルにこのグラスが並んでいます。

バカラ・クリストフル パビリオン内部
Courtesy: Lourve Library, Paris


Courtesy: Baccarat

バカラ・クリストフル パビリオン内部に輝く、
同じくジェ・ドー(大噴水)と名のついた大シャンデリア



晩年のジョルジュ・シュバリエ

Photo : Courtesy Baccarat





このグラスがデザインされた1925年頃、ジェ・ドー(大噴水)をモチーフにしたデザインが大流行していたようで色々なアイテムの意匠に使われています。

ジェ・ドー(大噴水)がモチーフのルネ・ラリックによるウォールランプ 1925年



ジェ・ドー(大噴水)がモチーフのダイヤをちりばめたブローチ 1925年




ジェ・ドー(大噴水)がモチーフのテキスタイル1925年 
ニューヨーク Smithsonian Design Museum 所蔵