2015年11月28日土曜日

アンティーク バカラ ゴルフ・ジュアン BACCARAT GOLFE JUAN





©Galleria Kajorica


オリーブの枝や葉をモチーフにしたエッチングが上品な『ゴルフ・ジュアン』は、ジョルジュ・シュヴァリエのデザインといわれていて、売りに出る事も少なく、希少なモデルに区分していいと思います。グラスの形状もオリジナルで、穏やかな優雅さ、とでも表現したいモデルです。

同じパターンの装飾でグラスの形状は口が翻って広がっていてステムはリブの物と、口が広がらずに立ち上がっていて球形のステムの物と2種類あるようです。


©Galleria Kajorica


名前の由来
ゴルフ・ジュアン(Golfe Juan)は、フランス語でジュアン湾の意味ですが、映画祭で有名なカンヌとアンティーブの間にある町の名前でもあり、この土地に由来していると言って良いでしょう。



勝手な想像ですが装飾パターンのモチーフになっているオリーブから地中海、地中海からフランスらしくコート・ダジュールの町の名と連想されたと考えるのが自然に思えます。

静かなヨットハーバーで、映画祭で有名なカンヌとアンティーブの間にある町ゴルフ・ジュアン。鉄道駅名は ゴルフ・ジュアン―ヴァロリス(Golfe Juan- Vallauris) で北に2kmの内陸部の陶器の産地ヴァロリスと駅を共有します。カンヌからは東に電車で5分、モナコ公国からは西に各駅停車で約1時間の距離と言ったら判り易いでしょうか?

Photo ©Galleria Kajorica
ヨットの並ぶ現在のゴルフ・ジュアン 2015年夏撮影


バカラのネーミングは歴史に絡んでひとひねりあるものが多いですが 、ゴルフ・ジュアンも例に漏れず、単なるコート・ダジュールの町という訳ではありません。

1814年の戦争で敗れイタリアのエルバ島に流刑されていたナポレオンがパリに戻って復位を成し遂げる際に1815年3月1日エルバ島からここに上陸したことでつとに有名です。

たったの95日間だけでしたがヨーロッパの君主達を震え上がらせた有名な百日天下とウォータールーの戦いの年の早春です。

ゴルフ・ジュアンでは2015年の2月から3月にかけてナポレオンの上陸200周年を記念して当時の状況を再現するイヴェントがありました。



http://www.alibionline.it/grey-carpet-per-lo-sbarco-di-napoleone-a-golfe-juan/ より
Photo ©Enrico Giudicianni


ナポレオン

因にナポレオンがパリに向かうのにたどった道で、ここからグルノーブルまでの国道85番の325kmは1932年に開通しルート・ナポレオン( Route Napoleon)と呼ばれています。
とりわけバレム (Barrème )までの111 Kmはパノラマルートとしてはバイク等で走るのに世界で最も美しい道の一つと言われています。南仏でツーリングの予定のある方は是非お試し下さい。

Photo ©Galleria Kajorica

ゴルフ・ジュアンの看板
「ここからナポオレオン・ルートが始まる」
この表示が無ければ見落とす様な細い道です




ルート・ナポレオンのヴェルドンの絶景
道から湖まで365mの標高差を見下ろす
ロック クライミングをする人にも人気です。
普通と逆で降りてから登らなければいけないので大変とか。。


因にゴルフ・ジュアンの北2kmに位置する陶器の産地ヴァロリスは現代美術の巨匠パブロ・ピカソが1948-1952までの4年間滞在し、おおよそ千点にのぼる陶器の作品を制作した事で有名で、現在も隔年で陶芸ビエンナーレが開催されています。
ヴァロリスのピカソ美術館はアンティーブのピカソ美術館と併せてお薦め。
両方訪ねましたが、アンティーブの滞在は数ヶ月だったため勢いのある直感的な作品が多く、ヴァロリス制作の作品はじっくりと制作したことがわかります。
生憎館内は撮影禁止でした。